Top Message

理事長メッセージ 2019

社会医療法人宏潤会 理事長 宇野 雄祐

使命を胸に、変革に挑む。
持続可能な未来を
築くために。

社会医療法人宏潤会 理事長

Yusuke Uno宇野 雄祐

Message.01医療人が持つべき「おもてなしの心」とは。

患者さまが感じる、本当の安心とは何でしょうか。そのために医療人はどのような「おもてなしの心」を持つべきでしょうか。

私たち社会医療法人宏潤会が大切にしている価値の一つに、「おもてなしの心」があります。おもてなしは「心のこもった接遇」といった意味で使われることの多い言葉ですが、私の考える意味は、少し違います。
行く先をあたたかく照らす――それが、私の目指す「おもてなしの心」です。

たとえば、ある治療が始まるときに、この治療によってどのようなことが起こり得るのか、患者さまは何を不安に感じるのかに想いをめぐらせ、ともに治療に向かう。患者さまから「実は心配なんです」と打ち明けられてから対応するのではなく、先に準備する私たちの姿勢がおもてなしであり、「本当の安心」につながると考えています。

想いを語る、宇野理事長

Message.02最高のものを目指すために、変わり続ける。

医療・介護を取り巻く環境が大きく変わろうとしている中で、国は「地域包括ケアシステムの構築が重要である」という方針を打ち出しています。その構築において重要なのは、地域の本当の課題をきめ細かに把握した上で、地域と強い連携をとることです。世代別人口がどのように変化していくのか、どのような機能が不足しているのか、などをしっかりと見極めないまま連携しても、形だけのネットワークにしかなりません。また、「いつかできれば」と悠長に構えていては、手遅れになります。

各地域の課題に一歩足を踏み込んだ実のある地域包括ケアシステムを、スピード感を持って構築する。それは素早く意思決定でき、素早く実行に移せる、私たちだからこそできることです。当法人が今、地域包括ケアシステムの構築に向け、変革に挑むことは、使命だと考えています。使命とは、「その人の誕生前から最期まで、診療・ケアと安心を提供する」という当法人の存在意義に対する使命であり、「取り組むからには常に最高のものをめざす」という私の価値観に対する使命でもあります。

地域に暮らす皆さまに、「本当の安心」を感じていただくために、今求められているのは、改善ではなく「変革」です。取り巻く環境の急激な変化に立ち向かうために必要なことは、意志を持って進める必要があります。

そう、地域包括ケアシステムの行く先を、私たちが照らすのです。そのためには先頭を切って歩き、道なき道を切り拓かなければなりません。必ず困難が伴います。しかし、困難を恐れてはいけない。本当に怖いのは、立ち止まったままでいることです。医療と介護のニーズが大きく変わることはわかっているのですから。

想いを語る、宇野理事長

Message.03誕生前から最期まで、診療・ケアと安心を。

「その人の誕生前から最期まで、診療・ケアと安心を提供する」は私が定義した、当法人の存在意義です。では、その具現化にどのように取り組んでいくか。職員の皆さんと価値観を共有するために、その行動指針を示したDaido Medicine Production Systemをつくりました。「患者ファースト」を頂点に「理念 『皆様の信頼と満足』それを極めることが私たちの使命です」、そして「基本方針」「Our Values」「DAIDO WAY」と裾野が広がっていく三角形で構成されています。職員の皆さんはこの三角形を見ることで、なぜ自分たちが医療・介護に取り組んでいるかを常に振り返ることができます。

当法人は今、変革に挑み、地域包括ケアシステムの構築をリードしようしています。しかし、変革することも、リードすることも、それ自体が目的ではありません。なぜ変革するのか、なぜリードするのか、その原点には、存在意義と理念があります。そのことを職員一人ひとりが常に振り返ることが、とても重要です。職員がどちらに進むべきか迷ったとき、本質に立ち返ることができるよう、存在意義と理念を繰り返し皆さんに伝えています。

Message.04変革への、3つの重点課題。

ではDaido Medicine Production Systemのもと、どのような施策を進めていくのか。当法人は今、3つの重点課題に取り組んでいます。

1つ目は「高度急性期医療の追求」。
これまでも大同病院を中心に、地域に高度急性期医療を提供してきました。今後は人口減少に伴い、高度急性期医療の需要は減少すると考えられていますが、私たちはさらなる充実を目指します。それは命を救う医療として、高度急性期医療は絶対になくならないからです。

2つ目は「地域最高の包括ケアネットワークを確立する」。
当法人は地域包括ケアという言葉がなかった時代から、予防も含めた包括医療を地域に提供する、という考え方を大切にしてきました。すでに介護老人保健施設、訪問介護ステーション、居宅介護支援事業所など、多様な事業所を展開するとともに、地域の医療・介護施設との連携に取り組んでいます。これからも地域の皆さまと協力し合い、共に価値をつくっていきたい。患者さまとそのご家族はもちろん、医療・介護・福祉機関、さらには消防などの行政も含め、皆さまが何にお困りなのかをしっかりと伺い、最高の包括ケアネットワークを確立するために取り組んでいます。

また、患者さまへの「おもてなし」を高めるために、各診療科間や地域の各機能間において、より深く情報共有できるITシステムを構築したいと考えています。たとえば、治療フェーズごとにどんな治療を施したかだけでなく、どんなご相談に応じたか、といった細かなことまで把握できる。お互いの電子カルテ情報を見られるというだけではなく、患者さまが感じる不安の真因を見つけ出し、お一人おひとり異なる価値観に応えていくための情報共有が必要です。非常にハードルが高い目標ですが、そのような仕組みづくりにチャレンジしていきます。

3つ目は「健康延伸のための予防医療」。
現役世代の皆さまに少しでも長く元気に働いていただけるよう、予防医療に力を注いでいきます。今も多くの企業の健診をお引き受けしていますが、今後は健診後のフォローにも尽力していきたい。「要精密検査」の方はもちろん、緊急性は高くないがこのままでは危険、という「経過観察」の方の病気を予防できることが、特に重要なポイントになると考えています。

これらの施策に取り組むことで、私たちを取り巻く環境の急激かつ大きな変化に備えます。「医療ニーズの変化にどう対応するか」という悩みを抱えている地域は、日本全国に数多くあると思います。持続可能な地域包括ケアシステムの一つのモデルを、私たちの変革を通じて示すことで、それぞれの地域で医療・介護に携わる方々、そしてこの地域で生きる方々の行く先を照らす力になれたらと考えています。

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